せっかく独立し経営者になった以上、その会社やお店の方針は自分で決めたいもの。

もちろんそれはあなたの自由です。

しかし小さな会社やお店にとって、経営の大まかな基本戦略は実際のところは、

ほぼ決まっているといっても過言ではないのです。

それは「専門家」を目指す、というもの。

これはランチェスター戦略のページでも解説しているように、

市場における弱者の基本戦略となっています。

 

詳しく見ていきます。

 

あなたの会社やお店が生き残っていこうと思えば、

消費者から見た独自の確かな価値を提供していくことが重要です。

 

あなたのお店しかないものがあって、それがとても魅力的なものであれば、

あなたのお店は必ず勝ち残っていくことができるはずです。

逆に何でもありますよ、というのは強者の戦略。

その土俵で勝負する限り、品ぞろえもクオリティも

経営体力のある強者(大手)に適うはずもありません。

もう少し言い換えると、あなたの得意なサービスや

商品に特化していくことによって、そのサービスや商品という

限定した市場の中ではあなたは強者(大手)になる、ということです。

しかしまず専門性を持つことを目指したときに、

多くの方が心配してしまうのが「絞ると対象者が減るのでは」ということです。

 

治療院で例えるなら

「肩こり・腰痛・膝痛の専門院」

などとしてしまうパターンがこれにあたります。

実際どの治療もうまいのでしょうし、

対象者を広げたいという気持ちはわかりますが、

これは「フレンチ・中華・寿司の専門店」と看板を出しているようなもの。

皆さんは「さあおいしいお店に行こう」と思ったとき、

こんなお店に行くでしょうか。

もし「とにかく専門って書いておけば、

患者はどれもそうだと思ってくれる」と思っていたとしたら、

その方は市場を調査していない世間知らずか、

患者をなめているとしか思えません。

 

市場ではそれぞれ各分野に細分化し、

特化しようとしている治療院がたくさんあります。

そんな中患者は貴重な時間とお金と期待を、

かけて良いところかどうかを真剣に探しています。

あなたが患者側だとして、

そんな中前述の「なんでも専門」という治療院に、行こうと思いますか?

どの業界もどんどん専門化、細分化していっています。

歯科でも

「審美歯科」「矯正歯科」「小児歯科」等専門を謳っていますし、

焼肉でも

「赤身が得意」「希少部位が豊富」等得意なものを絞って打ち出しています。

あなたが経営体力のある大手チェーンの経営者ならともかく、

個人でやっている治療院やお店であれば、

この専門化がまず基本的な経営戦略になると思ってください。

しかし私には専門性などない、という方もおられるでしょう。

 

それは実は違います。

細分化していけばいくらでも専門市場を「作る」ことはできます。

例えば膝でも「スポーツ障害」とか、

「高齢者の」とかでまず絞ると、

それだけでもぐっと専門的になります。

さらにそこから「高齢者の事故による膝痛専門」などとすると、

そう打ち出している方はほとんどいないと思いますので、

少なくともあなたの地域ではかなりの専門院ということになるでしょう。

 

もちろんそれに合わせての専門知識が必要ですが、

それは苦手でなければ継続的な勉強で追いついてくる部分もある、ということです。

ご注意いただきたいのは、やはりどうしても対象者が

あまりにも少ない市場にしてしまうのは考え物です。

そこはバランス感覚ですが、絞ると対象者が減る、ではなく、

小さなお店にとっては何でも屋が一番苦しくなる、ということを忘れないで経営戦略を立てましょう。